公演雑記1

今回の公演では「トライアルシアター」の名のとおり色々な試みをしました。
制作の裏側については、まぁ、細かいこともあるし反省点も多かったのですが
何といっても一番の目玉は「ソロダンス」でした。
そう、長くダンスを続けているアケミちゃん、Tちゃん、Hさんの3人にソロを
踊って欲しかったんですねぇ。
本人たち、最初は固辞してました。そりゃ緊張するもんね。でも、やらす。
もう、やってもいいように思う。だってこんなにも長いお付き合いだもん。
私としては「こんな私に」付いてきてくれているというのが何よりも嬉しいし
私ごときが創る舞台に「ソロ」をしたとて、誰にも何にも言われないはず、と。
かといって発表会でというにはプログラム構成上、却って難しいし、
そんなあれやこれやを考えると今回の機会を逃す手はない!と思っていました。
大体が25歳をピークにいろんなものが下がり始めますよ。(表現力は別として)
それもひとつ要因としてあった。やるんなら早いほうがいい。
もちろん若いからいい、とは思いません。
人生を重ねていかないとわからないことは本当に多い。
でも、体が動くうちというのも、ひとつの条件だなぁって。
そんなこんなで踏み切りました。(私は割合簡単に、だけどね)
そして、どうせやるなら当日緊張しないものがいい。
いや、そんなもの、あるわけないだろうけど(笑)
でも、十分すぎるほど練習を重ねれば、緊張は緊張でも違う緊張になるはずと
信じていました。が、どうだったんだろう?まぁ緊張はするやろうねぇ〜。
Tちゃんなんか、当日、振り作っちゃったもんねぇ〜。
アケミちゃんは尺が異様に長くなったし、Hさんは手首にゴムしてるし。
それぞれ反省点は次につなげていっていただければ、と思います。はい。
ワカモノ達は今回のようなテーマ性がある踊りへのアプローチがトライアル。
今までこういった、自分や作品を深く掘り下げていくものはしてきていません。
「こ〜んなイメージで」とか「楽しそうに」とか、雰囲気として捉えることは
やってきたかもしれないけれども、自分で考え、また仲間と話し合い、それを
実際自分の身体を使って「表現する」というのは多分初めてだったと思います。
苦しんだそうです。「病んだ」そうです。そ〜かいね。そりゃ可哀想に。
でもね、若者よ。この世の真実は痛みを伴わないものは何もないんだよ。
とはいっても。
弱冠16歳を筆頭に20歳までの、本当に若い子達だもの。
難しかったよね〜。ホントご愁傷さまでした。
自分の16歳を思い返しても、こんなこと考えて過ごしただろうか?と思うもの。
でも、彼女たちに何らかの強烈なインパクトは残したと、信じたい。
いずれ彼女たちがやり続けていけば、きっとわかるにちがいないと信じたい。
そして私がかつてそうだったように、踊りを通じて社会的な問題をも考える
きっかけとして欲しい。そんな風に、私自身もトライアルでした。
そしてもう一つ。
真面目な、ある種テーマ性をもった踊りを発表するというトライアル。
はっきりいって、時代は笑いを求めているように感じます。
お金を払ってわざわざ重く辛いものを見たくはないと思っている人が多いのでは
ないだろうか?と思っていました。バブル期の軽い笑いとは少し違った意味で。
現実があまりにも辛く、苦しく、低迷しているからかと解釈していますが。
そんな中、NHKの朝ドラ「おひさま」が好調なようです。
私も観ていますが、これは(あの時代では)かなり恵まれている人の話だなと
戦争を知らない私でさえ、そう思うのですから、戦時中、戦後と苦しい思いを
してきた方が視聴していたら鼻つまみもんじゃないだろうかとも思ってました。
けれども、この好調さの要因としては、3.11以後に見直されてきた
「人とのつながり」や「実のある会話」「人との関わり方」などが反映されて
いるように感じられます。そして、それは今回のレクイエム2に通じるもの
だったのです。(少なくとも自分の中では)
おひさまが好調なら、レクイエム2も受け入れてもらえそう…そんな気がしました。
余りにも前半の重い部分が長いかも、と思ってましたが、いつもの創作セオリー
通り「光を表現するには長いトンネルを抜ける必要がある」になりました。
果たしてそのトライアルは成功だったのかどうだったのか。
またご意見をお寄せいただければと思います。