ラストステージ(公演後記その6)

さて、いよいよラストステージである。泣いても笑っても。2年間の集大成。
…という気負いが生まれることを危惧した。
イキオイ込んでいい結果が生まれたところを見たことがない。
ある程度の気合は必要だけど、なんだろう…最後だし思いっきりやっちゃえ
というような心情で踊って欲しくはないと思った。
これは「公演」として位置付けている舞台だったので、いわゆる発表会のような
弾け具合は必要ないと思っていた。
むしろ最後まで「表現すること」へ貪欲であって欲しいと思っていた。
少なからず「お金をいただいて踊る」なら、それが最低限必要な要素だとも
思うし、自分たちの為のお祭りではないのだから。
それよりもきっちり最後まで、練習してきた今まで通りのものをみせること。
それが課せられた責任じゃなかろうか、と思うのだ。
もちろんダンサー達がこの時点でどう考えているかはわからなかった。
けれど、私は演出として、また指導者として、先に牽制をすることにした。
普段なら、まず、しない行為だ。発表会なんか率先して弾けちゃうもんね。
でも、今回はそういう舞台じゃない。
その意識だけが頑強に在ったので、舞台上でストレッチや確認をしているみんな
を呼び寄せ、もう一度、くどいようだけれど言わせてもらった。
ちょうどその前お弁当を食べていた時にユニちゃんが踊りについて、色々語って
いたので、それもついでに「山田レイ名代」として言ってもらうことにした。
「えぇ〜(本番直前、それもラストの)今?」と躊躇したが、今だからこそ。
だって、内容は練習中ずっと私が言い続けてきたことと同じだったんだもの。
それを私じゃない人の口からきくのは新鮮でいいかもしんないし。
ユニちゃんは「そんな〜、私は見えてても踊れませんで〜、それなのに…」と
謙遜していたが、イズミに「踊れるやろ。…20キロ痩せたらな。」と一刺し。
ま、それはおいといて。
ダンサー達は実に神妙に聞いていた。テンションさげちゃったかな?
失敗したかな〜とも思ったけれど、いや、これは必要なこと、と気を強く持つ。
つくづくノセてあげるのが下手な指導者だと思う。ごめんねみんな。
でも、少なくとも舞台への真剣さは伝わったと信じたい。
そして、それはいつも自分が肝に銘じてやっていることでもあるから。
ドドスコスコスコDNA注入、のつもりで。
「表現するとは何か」をもう一度自分に言い聞かせてラストステージに臨んで
もらいたい。それだけ。
ぐらつくより、回れないことより、表現できていないこと・しなかったことを
失敗だと感じるようになってほしいんです。強欲ですが。
さて、首尾は如何に。
この日は客席の入りもソコソコで(土曜の夜なのに何故か一番少なかった)
でも舞台と客席の距離もつまり過ぎず、会場全体がゆったりとした空気に
包まれていた。ダンサーも落ち着いていた(ような気がする)
もちろん、やはり完璧とはいかないけれども、いつも通りだったと思う。
照明も、音響も3回目なので馴染んで来ていてとても一体感があった。
「いい公演ができたなぁ」とレクイエムの途中から感無量だった。
そして大団円。舞台上で泣き崩れることもなく、極めてアカデミックに
終演できたように思う。
もちろんその後のホワイエでは泣いていた人も多かったけれど。
その後は急いでバラシ(撤収)。そして打ち上げ会場へとなだれ込む。
バラシも皆さんのご協力のおかげで1時間でバラせた。
どうやら収支も上手く行ったようで、アケミちゃんの肩の荷がやっと下りて
斜線の世界から解放されていた。ホンマにご苦労様でした。
打ち上げでは、ドンちゃん騒ぎになったのか、なっていないのか。
イズミの最終電車の時間がわりに早いので(遠いからね)スタッフさんと
ダンサーを残し、私はユニちゃん、イズミともども早めに引き上げたのでした。
どうやら、その後は腹筋が痛くなるくらい盛りあがったらしい。
またゆっくり聞かせてもらお。(まさか私の悪口ではっ?)
ものすごくドヒャーと上がったり下がったりと言うのはないけれど
一仕事した感はたっぷり、ある。ずっしりとした重みをもつ終わり方。
でも、きっとこれで終わらないのよね〜。終わりは次の始まりだ。
けれども確かに今回のプロジェクトはひとまずのキリを付ける。
その後、私の元へ寄せられる声は嬉しい内容ばかりです。
たぶん「成功」と言っていいのだろうと思います。
それは出演者、お手伝い下さった方々、スタッフのみなさんのおかげです。
そして、お忙しい中ご来場くださったみなさんがいらっしゃるからこそ。
時期は定期ではありませんが、きっとまた第二弾をやろうという声が
上がることでしょう。その折には是非ともまた応援をよろしくお願い致します。
本当にありがとうございました。
さて、このダイアリもこれで終わりではない。
いろんな失敗、裏話を暴露しないとね。ケッケッケ。
つづく。