最近の舞台事情

舞台雑記、続けて書こうと思ったけど、そんなにネタがないので終了(爆)
もちろん細かい内輪話はあるんですが、一般的には多分オモシロくないので。
それよりも少し遡ってビワコでのお話しなんですが。
この企画に載せていただいたことで、様々な方々と知り合うこともできたし、
新しい可能性が拡がった感じがしました。自分の、ではなく関係性としてです。
ダンス界は広いようで狭い。もちろん演劇界も同じかもしれませんが底辺の広さ
においてはやはりダンス界よりも広い、そんな気がします。
昨今のストリート系などはダンス界でも底辺が広がっているのでしょうが
少なくとも私の周りは増えもせず、さりとて減りもせず、というところ。
そんな中、同じく出演者の中には年の近い方が約2名いらっしゃいまして。
パントマイムの木原アルミさんやフリーで役者稼業の日詰千栄さんなんかとは
年齢が近いせいもあり意気投合。昔話に花が咲きました。
…いや「ひめさん(日詰さん)」は永遠の30歳です。失礼しました。
何の昔話かってぇと、それはそれは昔の劇場にまつわる話です。
古くは阪急ファイブオレンジルームとか、今の劇研が無門館と呼ばれていた頃の
事とか、ある一定の年代でないと分からないノスタルジー溢れる話です。
むろん私は役者ではないので、それ以上の突っ込んだ話はあまりできませんが
80年代の第一次小劇場ブームの頃は私自身も舞台活動していたので共通するもの
がたくさんあり、懐かしさを共有させていただきました。
あの頃からの舞台人っていうのは大体が雑草魂です。
20代前半なんて当然ながらまだまだ下っ端ですから容赦ないチケットノルマに
苦しんだこととか、財布の中に30円しかなくて明日はどうやってご飯にありつけ
るのかと不安いっぱいだったこととか、当然ながら親に反対された事とか…。
生活の苦しさと将来の展望のなさに志半ばで離れていく人も多数いました。
その人たちを責めることは出来ません。情熱がそこまでだったとも思いません。
私達はたまさか何とか暮して行ける術を持てて、また社会には適合できない体質
だという事を自覚していただけに過ぎません。
他に働きながらでも、この道は歩き続けていたと思います。
それはきっと今、舞台をしている皆さんにも共通するであろう心持です。
これ以上に楽しいと思えることを他に見つけられないのですね〜。それだけ。
だからこれに乗じて大金持ちになろうとか、有名になろうとかは考えてない。
逆転の発想で「有名になったらお金持ちになる」可能性はあるかもしれません
が。でも、自分が楽しいと思うことを、それによって手放すことになるなら、
一生貧乏のままでいいです、って思うからいつまでたっても貧乏なんだろうね。
閑話休題
当然ながら表があれば裏もあるわけで、表の出演をしていたのに、気が付いたら
いつの間にか裏に回っていた、という人も多い時代でした。
あるいはある一定の修業をするのに裏方を経験するという事も一つのセオリー
のようになっている世界です。特に劇団関係はそれが多いような気がします。
学生芝居からそのまま演劇界に入っていく人が多いので舞台を一から創る作業。
制作し、舞台を創り、受付し、同時に役者もし、よその劇団の応援にも行くと。
概ねどの役者さんもそういった道を通って行かれるようです。
そしてそんな途中で音響に目覚めたり、本格的に照明の道へ入ったりと、大体が
そういった流れの中にいるスタッフさんが多かったのですが。
昨今ではこの辺りの事情が違うことに気がついた、夏。
ビワコのホールスタッフさんで比較的年の若い人たちは某大学の卒業生。
それも結構な数です。そういえば今回の演出助手のお二人もその学校の出身。
もちろん役者さんにもその学校の出身者はいますし、現在活躍中の方々でも
よく見かけるようになってきました。
もちろん、その学校を卒業したからといって誰もがそうではないと思います。
個々の性質、才能、家の事情…さまざまなものが絡み、またそれらを乗り越えて
やっていらっしゃる方ばかりだろうと思うのです。
しかし、スタッフ関係は…うん、卒業間もないような…うん。
そうか〜そういう時代なんだな〜と少しばかり寂しく、羨ましく感じました。
私達の時代にはそういう学校は大阪芸大くらいだったものね〜。
大阪芸大といえばこの世界では「ほほぉ〜」と感心されるランクですもの。
ある種のエリートでしょう。舞台界では。
でも時代なのか、そこの卒業生だからといってすぐに職にありつけることは
少なかったと記憶しています。でも今は違うらしい。
そうか、そんな時代なんだな〜、ふぅ〜ん、と感心することしばし。
底辺から立ち上がってきた世代としては、はっきり言って面白くない(苦笑)
でも、そんな根性論の押しつけみたいなのは間違いです。
学校を推し進めてきた方は、私達と時を同じくして、こういったことが職業と
して確立し、そんな道が付くことを夢見ていた世代のはずです。
ということに気が付いて、俄然エールを送りたくなりました。
そう、こういう世界が職業として確立することは文化の成熟に繋がるはず。
なんだか新しい時代の風を感じることになった夏でした。
いいかんじです。
でも、この世界に携わる以上、舞台という世界を好きであって欲しいです。
なんだか職業的割り切りとして携わるみたいな情熱のなさを感じたら悲しいし
とっても残念だもの。
少なくとも舞台を「使う側」は必死で創り上げたものだからね。
それを支える側としても真摯に対応をお願いしたいというのは一方的な
こっちの願いになっちゃうんでしょうか、どうでしょうか。
卒業=就職が成り立つようになると、そのあたりが心配なのは老婆心ですが。
無一文で舞台と関わってきた世代としては、その辺が割り切れません。
お金にならなくても、いや自分のお金を持ち出してでもやってきた私達の世代は
その分舞台へのリスペクトと情熱が誰よりもあると自負している世代です。
舞台がすべてと思い込んでやってきた世代です。
だから同じ目線でなくともいいから、舞台というものに真摯であって欲しいと
願っています。いろんな人の想いと夢が一杯つまった職業であるという事に
無自覚でいて欲しくない。そう熱望します。
あ、こんなこと書いたらビワコの人たちがそんな風だったみたいかなぁ?
そんなことは全くありませんでしたので誤解なきようお願いしますね。
ビワコのスタッフさん達はみなさん舞台を愛している方ばかりでした。
昨今の舞台(特に裏方)事情が変化してきたことを目の当たりにしての
言いたい放題でした〜。シツレイしました〜。