動く・踊る・表現する

本日のレッスン終了後、先ごろ某スタジオの発表会に出演してきた
Kちゃんとそれを見に行ったHさんがしゃべっていた。
どうやら感想をKちゃんの携帯に送っていたらしく、そのお礼をしているよう。
しきりにKちゃんは喜んで、わかってくれてありがとう、みたいなことを言う。
H「いや、ほんま、なんかさ、上手い人ってもちろん他にもいるけど
Kちゃんの踊りは心が伝わってきた感じしてん」
K「いや、ほんまありがとう。うん、ハートはいっぱいよ」
H「上手い人って、反対に心が伝わってこうへんっていうか…」
K「そりゃ上手い人は表現も上手よ」
Hさん、そんなことはないと言いたそうだったのをグッとこらえ大人の反応。
H「そやなぁ、そういうのって相性があるんかもな」
K「そや!うちら相性がええんやっ!」ちゃんちゃん。てな会話。
別に盗み聞きしてたわけではありません(笑)
横にいて頂いたおせんべい食べながら着替えてただけ。
聞きながら先日のMさんの出演した発表会のこと思い出してた。
キッズhiphopですごく上手いコが一人。
よく動く身体もさることながら、なによりもその表現力!オラびっくりしただ。
hiphopって、ともすれば動きの面白さとかアクロバティックなものの凄さとか
見る方もやる方もそっち重視みたいになってしまいがちなのだけれど
その子は全身で表現というものをしていた。ただ一人。
音楽を全身で捉え、振付師のやらんとするニュアンスをきっちり捉え
なおかつ、きっと振付師の感覚さえ超えていたことだろう。
音楽をも超え、彼の全身から言葉にならない声がシャウトしていた。
音楽を踊るでもない。
振付を踊るでもない。
踊ることをすら軽く超え、表現というものに達している。
彼の空気だけが違うものを醸し出す。没頭している感じ。
その世界にこちらが引き込まれて行く感じ。
しかも年齢のせいなのか商売っ気というものが全くなく
オレを見ろ、とか、そういう傾いた感覚(ある種必要なこと)も全くなく
ひたすら音楽と自分と舞台という場所で対話している感じ。
モノローグでありダイアローグである。恐れ入りました。
ひとつはゾンビのダンス。もう一つは草食動物のダンス。
ゾンビのほうはどちらかというと王道でもあるが、動物の方は
何とも言えない悲しみみたいなもの、怒りのようなものが全身から溢れ、
この子もしかして踊りながら泣いてるのでは?と思うほどの絶望感と
哀愁が漂い、あぁこれはきっと絶滅危惧種のダンスなのだな、と解釈。
いやほんとにすごかった。天才なのだと思う。
天才。天賦の才能を持ったもの。でも、それで片付けて良いのか?
きっと彼は勘はもちろんずば抜けて良いだろうと思うし、運動神経も
もちろんいいに違いない。けれども努力だって死ぬほどしているはず。
テクニックも、リズム感も、よく動く身体もどれも必要不可欠だけれども
心、それこそがやはり必要なことで、そこを本気でやっていかなければ
…と改めて感じた次第。
ダンサーとして、振付師として、演出として、指導者として。