共感の嵐

他人との距離感を上手く測れない人たちの物語。といっていいのかな。
主人公は人付き合いが苦手でかなりの受身タイプ。
本人はそれを決してよしと思っているのではないが「そういうものだから仕方がない」
唯一といっていいであろう仕事仲間にして友人の女性は本音で生きるタイプ。
歯に衣着せぬ物言いで敵も多いが容姿とともに魅力的。しかしこちらも生きづらい。
主人公が自覚なく恋らしきものに落ちてしまう。
感情の発露とコントロールの効かなくなった自分を持て余す。
相手は自称・高校の教師なのだが、読んでいるこちらは初めから疑う。
しかし主人公は知らない、というなんだか二重底構造な感じ。
主人公が昔を回想する場面も含め、登場人物はまったく多くない。
けれども川上さんのそれは丁寧に自分と向き合うことでしか紡ぎ出すことのできない
筆致によって、なんど大きく頷き、膝打ちし、ついには「わかるわぁ〜」と
おばちゃん丸出しの感嘆符を口から出させてしまう恐ろしさ(笑)
私はすご〜〜〜〜〜〜〜〜く好きな小説だった。