泣き言

膝の手術をしたOさん、この1月から見学、2月からやんわりと動き始めた。
しかし、じっとしていると痛みを感じなくても動くとやはり違和感があるらしい。
痛くはないらしいのだが、どうにも違和感があるため怖い(本人談)よう。
歩くのは問題ないし、そんなに早い動きはできないけれど上半身は踊れる。
ただ回ったりするのが痛い、というか怖いとおっしゃる。ひねる動作が難しいのだろう。
いろいろ想像してみるのだけれど、膝が痛いときは何をしても痛いというくらいの
貧弱な想像しかできない私。無茶をさせる気はさらさらないのだけれど出演するか
どうかと言う判断は私自身が下すわけにはいかない。
と、思っていた折り。
「先生、私ムリッ!」と言い放つOさん。おろろろろ、どないしよ〜。
もちろん、どうしてもだめなら無理強いするようなものではない。
でも何とか構成を変えて、やれるなら問題ないし。それにまだもう少し時間がある。
若者みたいにガツガツした動きを踊るわけではないので、この動きはどうしても無理
というものだけを外していけば出演すること自体は可能では?
ま、本人が出たくないとおっしゃるならそれはそれなんですが。
それにここだけの話、回らない、飛ばない、走らない、寝転がらないという数々の
制約がありつつも完成した作品なので、もとよりそんなに無茶してない。
「Oさん、ご自分では私全然踊れてないし、と思ってはるかもやけど、そんなに
ひどいもんやないですよ?ひざの手術する前の方が痛みに気がとられてて動けて
なかったし、全然いまのほうが踊れてますよ」…本心です。いや、ホンマの話。
別におだてるつもりもないし、本当にダメならご自分で申し入れされたことを機会に
「あ、そうですか。それは残念ですね」と言ってしまうもの。
本当に手術される前よりマシなのだ。
「やめるのは直前でもいいじゃないですか。ギリギリまで頑張りましょうよ」
これ、どこかで使ったような…とは思ったけれど、これもまた本心である。
やめるのはぎりぎりでもできるのだ。でも今ここで諦めるのは早すぎる。
するとメンバーみなさんが口々に励ましの言葉を発しはじめ、Oさんはそれを聞いて
その声に応えないとと気を遣ったのかもしれないけれど「そ〜お?」と少しおどけて
「そんなにみんなが褒めてくれるんなら、それに気を良くして頑張るわ〜」と。
もちろんかなり痛いのを無理してまでやる事もないし、自分が本来の自分でない時に
それを人前でさらすことにも抵抗があるのはとてもよく理解できる。
でもね。
私はかつてかなりストイックな感情の持ち主で他人を攻撃もし、自滅もしたけれど、
年を経て丸くなってきたのかなんなのか、言い訳をいっぱいしてもいいと思うように
なった。もちろん舞台の裏側を見せるのは本意ではないけれども。
でも、そこまで夢を売るだけの存在であるような人は一体どれほどいるだろうと
思ったりもする。等身大でやっていくというのも発表会の意義であるような気がする。
それでいいんじゃないでしょうか?
むろん本人が「いいかっこしたい!」というならそれはそれで尊重したい。