八瀬にて 2

結局、すごく長い編集録音になりました。
午前中から行って、帰宅は夜の9時前だったもんね。ふひぃ。
王子、おつかれさまでした。どうもありがとう。
今回は二転三転あって、音楽もその都度選び直したりしましたので
ダンサーの手元には多い人で10枚くらい貯まってるんじゃなかろうか。
曲そのものが違っていたり編集で音の入るタイミングが違っていたり、etc…。
でもこれでもう最終ですけんね。あ〜ひと安心。
当然ですが編集していると耳が腐るほど同じ音楽ばかりを聴くことになります。
私は場面を知っているので何回聞いても自分の中に舞台の映像、または
稽古場でみんなが動いている場面が視えますが、王子は大変だったでしょうね。
時間も時間だったので、最終流して聴いてみるチェックは外しました。
聴いてたら2時間近く経つんだもんね。本当にお疲れ様です。
昨日はSE(効果音)も入れてもらったのだけれど、シチュエーションによって
選ぶ音色が違うこと、また結構自分の中にこだわりがあることに驚く。
反対に私のこだわりがあまりないところでは王子の方にこだわりがあったり。
王子曰く「無意識に音の違いを耳は覚えている」ということで、確かにねぇ。
それでも不思議に共通項があって、もしかしたらどうってことない、
少しのタイミングの違いみたいなものにめちゃくちゃこだわったりして。
あまりにも美しすぎるものは「キレイすぎる?」と敬遠したり。
全ては最終的に「違和感を感じさせないこと」が目的なんだろうと思います。
で、ちゃんと違和感のない仕上がりになりました。さすがだね。
音響さんとして当然の事かもしれませんけれども、自分が関わるものについて
どういった作品であるか、どういった物語であるかを知ろうとしてくれます。
もちろんそれが彼にとって是でも非でも。プロフェッショナルですなぁ。
こちらがやろうとしていることを聞き、汲み取って、感じようとしてくれます。
それだけに私もつい熱弁をふるってしまうことになる。
直球過ぎるかと懸念を持ちつつも、それでも伝えたいと思うことを、その場で
言うことによって自分の中でますます確固たる信念になっていく気がする。
こういうプレゼンというか、外に向けての提示は必要不可欠ですね。
自分がどの辺りまでキチッと考えているかというのを自分で知る術になる。
だから、なんとなく〜はやっぱりなんとなく〜で進んでしまうんですが(笑)
昨日は震災についても話をしました。
王子曰く「今、なんかどぉ〜んとしてるのは、あの時(震災のことは)ちょっと
忘れとこうと思ったからやと思う」とのことでした。
その日は彼、ちょうど翌日が本番というリハの真っ最中だったんですね。
12日が劇団の本番だったのです。
いろんな不安や違和感や、また反対に責任感や使命感みたいなものが
いっぺんに押し寄せてきたのだけれども、なんせ次の日が本番。
それらの感情は一時置いといてみたいな風になってしまったのだといいます。
そしてそんなモノたちが今出てきているらしい。テンション低い目でした。
私の方は震災があったことで作品の表現がずれ、一度瓦解してしまったこと。
その上で構築し直して今回の作品となったことなどを話したりしました。
自分の無力さや存在の小ささを感じて、それでも、
それらをきちんと認識した上で発信していけるものを考えていく。
そんなものを舞台人としては載せていきたいなと改めて感じました。