千本のおばちゃん③
バタバタではあるけれど、高齢であったのもよかったのか連絡はそこそこ必要な
方々には回ったようだった。お通夜の用意や告別式の用意など、それらは全て
おばちゃんが生前に契約を済ませており、私たちは特に煩わしい思いをするでもなく
すっかり段取りが出来上がっている上を運ばれていくようなもの。
もちろん細かい事柄については義妹が頑張ってくれ、ダーリンも責を果たした。
私は甥の妻なので微妙に門外漢ではあるが、実働部隊としては必要なポジション。
それにしても、いつだったか叔母ちゃんがこの葬儀の契約をしたことについて
事細かに説明されていたなぁと思った。
そんなところまで決めるの?と思うところまで生前に自分で決めていたな。
圧しの強い人だったけれど、さすがにそれだけのことはあったなと思えた。
おっさん(和尚さん)や葬儀社のひとにもそれはもう「ええっちゅうねん」くらい
何度も何度も同じ話をしていたし、確認の上に確認を重ねるようだったけれど
その圧しの強さが必要なのかもしれないな、と思ったり。
葬儀のランクや粗供養の品や精進落としの料理のことまで。
「天晴れやな、おばちゃん」と何度心の中でつぶやいたことか。
長患いをして頼りたくなくても頼らないといけないこともあるだろうと思っていたし
それなりの覚悟もこちらとしてはしていたけれど、それもなく。
それにしてもやはり死は突然だ。
おばちゃんの家はもちろんそのままで、おばちゃんだけがいないのが不思議。
しかし気配が消えてはいないからその辺にいるんだろうなぁとは思う。