スタジオという場所

先週の甲南でのこと。通常のレッスン後、AYは居残りで別レッスンをする。
とても短いけれどソロで踊る部分の練習と京都チームと合同でやる曲のもの。
彼女は2年前に社会人になったので仕事帰り(しかも週末)の最後にこのレッスンが
あり、当然のことながら疲れてヘボヘボになっていることも多い。
なんたって通勤だけでも1時間半以上かかってしまうところからの帰りだしね。
その上、レッスン終了後ともなればいくら若くても体力的に限界を超えている時もある。
この日はたぶんかなり疲れていたのだと思う。その前のレッスンの時にもヨレていた。
そのこと自体は責めるべきでもないし、誰でもそういう時はあるものだ。
叱るつもりはないが、つい一言。「本番、疲れてないとは限らんで」
本人もよくわかっているようで「はい、そうですよね」と神妙な態度。
追いつめるつもりもないので、それ以上は言わない。
そして練習再開。更にヨレるAY(笑)
というか先週までに覚えているはずのとこですら怪しい始末。…それは、どうなん?
こんな状態で練習しても仕方ないので今日はもうやめようとAYに言う。
体力の限界は仕方ない。やりたくても身体がいうことを聞かない時は誰にでもあるし
それは休めばいいだけのことだから大したことではない。明日が本番でもないんだし。
けれど私が気になるのはソコではなかった。
何度か練習するたびに微妙に突っかかるので「すいません。ちょっと覚えます」と
言う。覚えます…?いま?ここで?もう覚えてきてるんちゃうのん?
これはちゃんと言っておこうと思い、叱る口調にならないよう気をつけて話す。
「あんな。スタジオで練習できる時間は限られてるやろう?そやのに、ここで
〈覚えること〉をしてたらアカン。ここ(スタジオ)は踊りを練習するとこで
振付を覚えるのは自分でやってくることやで。覚えるだけなら家でもできるし
身体の反射でしか物事覚えられへんならどこででも何遍もやるしかないよな。
まず覚える。それが先決。そうでないと練習できひんやん?まだ頭で一瞬でも
左右が怪しかったり振りを考えんとアカンてことは覚えられてへん、てことや。
頭の中でちゃんとつながってできひんものが何で実際できる?…etc」
こうして文字にすると一方的に叱っているようですが、違いますからね。
彼女だって、わかっている。そしてやる気がないわけでもない。でも、甘い。
仕事しながらもダンスへ向き合う大変さを私自身も理解はしているつもり。
だからこそ、この貴重な1時間弱の時間を無駄にならないようにして欲しいのだ。
1日中解放されているスタジオで、自分も好きに使える時間が十分にあるなら
スタジオで振りを覚えるということがあっても問題ない。
実際は振付後、何レッスンかは覚えるための時間に宛てているのだし。
けれども少なくとも、もう覚えたはずの時間は過ぎて、さぁここからはリハーサル
ともなれば自ずとそこに突っ込む姿勢も変わるはず。
甲南であれBKであれ、私のレッスンの前後は好きにスタジオを使わせてもらえる
恵まれた環境である。これ時間貸しのスタジオだったらとっても大変なのよ。
まぁ、もとより受けている方はあまりその部分は関係ないのかもだけど。
もちろん、頭では出来ても実際に手足を動かすと自分の意志とはうらはらに
できるはずのことまでおかしくなる、ってことは往々にしてあるわけですが。
「覚える」ことは個人でしてきて下さいね。はい。
覚えてからしか踊りの練習はできないのだから。そこがスタート地点なんだから。
とはいえ、裏返して言えば私自身も「踊りの練習」を指導しないといけないわけで
膨大過ぎてボーっとしてしまわず、イッコずつやっていこう、と改めて決心しました。