知性

社会学者、ウエノ先生の珍しいエッセイ集。
ウエノ先生はあれだ。「おひとりさまの老後」が有名なジェンダー研究者でもある。
お堅い話の著作は数々あれど、こういったものはとても珍しい。
それとも私が知らないだけか。
優しげで入りやすい語り口から、そこへ来ますか!という着地点に驚かされる。
流石に知的な人と言うのはエッセイ一つとってみてもこうなるのだな、の見本。
冒頭、亡くされたお母さんへのオマージュがそこはかとなく心を打つ。
どうやら親子関係としてはいびつだった家庭のようだが先生もそこそこの年齢。
もう自分の中で折り合いがついてきているのだろうか。
自分自身をとってみてもそうだが、三つ子の魂百までが確かにある一方で
変わらないと思っていたモノすらも変わっていくということに驚くことがある。
日々、同じように暮らしているに過ぎないのに、その積み重ねでいかようにも
どんな道にでも行くことができるし、また行きたくても行けないこともある。
日々過ぎ去るというのは何とも不思議なことだなぁ。
目的、目標を持って生きるのは簡単そうでいてなかなか難しくもある。
目標を達成できる人は実はかなりの変わり者かヘンコじゃなかろうか、と
最近思っているのである。私?わたしはヘンコじゃありませんね。流されてますね。