乱れ読み

ここ数日で読んだ本。

総理の夫

総理の夫

空飛ぶ広報室

空飛ぶ広報室

七つの会議

七つの会議

すべて、コンプリート癖のたまものでございます。
というか、最近(図書館に)頼んだのやら、1年前に頼んだのやら入り乱れている。
でも揃う時はなんでいっぺんに?
どれも次の予約者がいるとのことで急ぎ読んだ。一晩一冊の勢い。あーもったいない。
「総理の夫」
日本初の女性総理が誕生した。既婚の彼女には夫がいるわけで、必然的に日本初の
総理の夫、つまりファーストジェントルマンとして妻である総理の補佐を担う。
登場人物の設定に出来過ぎの感があるが、細やかな情のやり取りは原田氏お手の物。
つくづくこの方、性善説派なのだと思う。楽しく読める一冊。
空飛ぶ広報室
有川浩氏にハマったころ、軒並み映画化されたりTVドラマ化されたり…。
ついこの前まで棚に並んでいたものが一気になくなるという現象の渦中に予約した本。
デビュー三部作に引き続いての自衛隊モノ(と括っていいのだろうか?)である。
今まで陸上、海上ときての航空自衛隊を扱ったお話。
基本路線としてラブコメが薄くあるのだが、軽快に読めてしまう。
でもすごい量の資料と取材を重ねたのだろうことは察するに余りある手腕だ。
きっと人によっては有川浩氏自身が「自衛隊のプロバガンダだ」と言うだろう。
でも、少なくともファンである私はこういう軽快な筆致であるからこそ伝わるものが
あると思うし、実際とても勉強になっている。ま、自分の不勉強は脇に置いて。
自分自身は右も左もない中庸だと思っているし、高邁な思想も持ち合わせていない。
だからこの本に書かれている事実を元にした(であろう)自衛隊への中傷と言うもの
には眉をひそめてしまう。きっと酷い事あちこちで言われているんだろうなぁ。
裏返せばそれすらも知らない、無関心な私みたいなのが大半なのかと。
だからこそ、こういう本は意義がある。それよりエンタメとして面白いんだもの。
それとこの国に軍隊が必要か必要でないか、とかいう話はまた別じゃ。
「七つの会議」
立て続けに読み過ぎててすぐに主人公の名前なんかは忘れてしまう。
これはタイトル通り7つの短編集がなんとなく底辺でつながっているもの。
それぞれのエピソードにそれぞれの主人公がいる。
でも、池井戸氏の得意な金融がらみではある。銀行ではなく会社だけど。
印象的だったのは社内不倫をしていた男女の物語。
平凡なOL生活をしていた主人公は不倫相手から別れを切り出され悲嘆にくれる。
でもその不倫相手は実に器の小さい男であり、不正にも加担している。
そのあたりの事情は分からないものの、自分の保身のために捨てられたと気づいた
主人公は半信半疑ながらも勇気ある行動を起こしていく。
それは会社にいて自分が何をしてきたか、ということを改めて問う闘いでもあった。
男尊女卑体質の古い風習が残る会社。サービス残業なんか当たり前。
根底から覆るような大きなエピソードではないが、社内でドーナツを売るという
人生初の企画を通したことで初めて見えてくる社内の力関係や一人々々の人間性。
何冊か読んでやっとわかった。何故、半沢直樹がそこまでヒットしたか。
勧善懲悪はもちろんのこと「正直者がバカを見る」世の中がつくづく嫌なんだ。
きっと大半の人は真面目にコツコツやってるからだ。
池井戸氏の小説はそんな一般人の代弁だからなんだね。
そして悪人正機、ということでもある。