まつり再開

有川浩まつり。図書館で取り寄せを頼んでいたものがようやく来たので。

兄弟の父親は(売れない)劇団の俳優。学生結婚だった兄弟の両親だが兄の小学校
入学を目前に夫は妻から三行半を叩きつけられる。夢見る夢子さんの男版なのだ。
弟は人見知りが過ぎていじめられっ子になってしまい、不登校目前。
そんな時、母親の考えもあり弟は劇団に入ってみることに。兄はその付添いだ。
するとやっと自分の居場所が見つかったような弟は水を得た魚のようになり
人と会話することもできるようになった。時を経て兄はバリバリの不動産営業、
弟は学生劇団の主宰をしているままずるずると劇団を続けている。
ブレイクとまではいかないものの、そこそこ人気の劇団であるようだ。
しかし、その劇団に声優として全国区に名が知られている女性が入団志願をしてきた。
劇団は分裂し、おまけにそれまで好意で手伝っていた人間が赤字を抱えていたことが
発覚。その額300万。弟は兄に泣きつき、兄は条件を出して融資をする。
その条件は「劇団を黒字の出る団体にすること」残った団員の意識改革が始まる。
いや〜身につまされるっちゅーか、なんちゅーか。
「芝居をしてたら貧乏なのはあたりまえ」という言葉が出てくるが、踊りの世界もよ。
それだけで食べていけてるのなんか一握りの人間だもの。
有川氏は3ヶ月でこれを書き上げたそうだ。
それにしては小劇団の抱えている問題や携わっている人間の心のひだまでお見通し。
いくつも「そうそう、そうなのよっ」と膝打ちしたくなる箇所がたくさんあった。
的が広くて絞り切れていない感じがしなくもないが最後まで面白く読める。
すごいよなぁ、有川さん。