女も男も愛嬌

フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。

これもいつだったかドラマ化されてましたね。安直だなぁ、TV(苦笑)
確かに有川浩さんの本は映像化しやすいと思うが。
これは恋愛がほんのちょっとしか絡まず、どちらかというと親子の確執の物語。
父と息子。母と息子。姉と弟。そしてその家族と周辺の事情。
引っ越してきたその日に近所の集会で父親が泥酔し失態を犯してしまう。
それが元で家族全員が村八分状態にされてしまうという、なかなか痛い話だ。
近所からの嫌がらせに耐え切れず心を病んだ母。敏いのは嫁に行ってしまった姉だけ。
見るに見かねて帰ってきたときに近所からの仕打ちを一切合財、弟である主人公に
打ち明け、自分の妻の状態を気遣いもしない父親に鉄槌を食らわして帰るのだが。
数日後、家族内でのいさかいが引き金になって自殺未遂を起こしてしまう母。
それを機に自堕落な生活を送っていた息子が「なんとかしなければ!」と一念発起し、
家族の再生物語が始まる、というスジガキだ。
もちろん心の病は「治る」には程遠いのだけれども、少しずつ明るくなっていく兆しを
見せつつ、物語は閉じられる。
有川氏の物語に出てくる人間は基本的に頑張り屋で素直だ。
こんないい人、なかなかいないのでは?と思うけれど、それはそれ。
心の素直な描写が読んでいて心地好く、嬉しくなってくる。
それにどの本にも「愛すべき愛嬌のあるヤツ」が出てくるのだけれど
こんな人になりたいなぁ、と心から思ってしまう。
愛嬌ってのは、本当に才能だ。頑張って身に着くものなら着けたいと思うけれど。
ユーモアのセンスも必要だしねぇ。
すぐに突っ込みどころを探してしまうでは…ねぇ。