想像力

やはりというべきか有川浩まつり開催中。

レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)

でも人気作家でもあり、ちょうど2本の作品が映画化され公開が間もなくのせいか
とりあえず予約をし順番待ちをしているところ。届いたコレから。
主人公の若い男性が昔読んだ印象的な本について色々思い巡らせている時、たまたま
とある女性が自分のHP「レインツリーの国」でその本の感想を書いているのに行きあたる。
周辺にその本について語り合う友人を持ち合わせていなかった彼は感性が似ていながらも
自分とは少し違う視点で語られていることに感動してしまい思わずメールを送った。
期待していなかった返事が翌日返ってきて、よさげな感触。
その日からは濃密なやり取りがなされ、メールでは冗談も言い合うまでに。
当然、直接会って話をしたいと彼が意を決して申し入れるが、彼女の反応がピタリと止む。
…と、まぁ、なかなかにドキドキする展開で一気に読ませる。
ネットだけで繋がっている危うさと脆さ、でもその熱っぽさ。あぁ、身に覚えが(笑)
限られた登場人物に的を絞っている分、そのやり取りにこちらも浮いたり沈んだり。
恋愛物語ではあるけれど通り一遍ではないことが途中でわかる。
本音の部分で共感できたところが「他人の痛みはやはりわからない」ということ。
そう、私も常々そう感じているので。
子供には「ひとの身になって考えろ」とか言うけど、ねぇ。
どれだけ想像力を駆使しても、自分が今苦しんでいることが第一にきてしまう。
そのことに関しては苛まれもするし、腹立たしくもあるし、あーあと思う。
だから比較論は無意味なのだろうけれど…。
「自分が一番かわいい」のとは少しだけ意味合いが違う。(ということにして下さい)

過不足なく伝え、過不足なく想像できるようにしたい。
この本は、そういう意味でも多くの情報を含んでおりました。どちら側にとっても。