1123(イイニイサン)その2

昨日電話をかけてきた同級生には、たまたまその日は別件でお通夜と翌日に葬儀が
入っていたらしいのだけれど、葬儀の方は行くのをやめたと聞いた。
信じられない思いで連絡を回した私も、連絡を受けたたくさんの同級生や先生方も
一様に思ったのは夏の同窓会でひときわ楽しそうだったMくんの姿。
そして、ほんの2週間ほど前に会った時の姿。
あの時Mくんが吐いた言葉に私は憤り、次に会った時にはそのことをこんこんと
説教、あるいは抗議しようと思っていたのだ。
その日は遠くなく、先日みんなで早めの忘年会をと計画したのがMくんで、その時には
来年あたりみんなで2度目の修学旅行として伊勢参りに行こうという話も出ていた。
今回の鍋でのメニューを聞いて回ったMくん。牡蠣がダメなメンバーがいるので
牡蠣を外し、でも牡蠣好きな人間とは広島へ牡蠣を食べに行こうとも言っていたと聞く。
そんなこんなを全部ほったらかして。
連絡を回してと私に頼んだ同級生は恋人ではなかったが、そうなる日も近いかも
そうなればいいなと私は密かに思っていたし、本人達もそれを望んでいたと思う。
私はもっぱらその同級生から話を聞くばかりで(名古屋へ一緒に行った時も)
裸の王様で言うところの、私は穴の役目だなと思っていたが、陰ながら応援していた。
ともにバツイチ同士で、この1年間、同窓会を開催するという話をきっかけに
それこそ様々な話をして、お互いが心の支えになっていることも多かったようだ。
Mくんは彼女に「俺の葬式はお前が出してくれよ」と頼んでいたという。
もちろんどこまでが本心かどうかは定かでない。
自分の寄る辺なさに少し気弱になりながら、もしもの時の事を考えていたのだろう。
その気持ちは痛いほどわかる。
でも、そんなことはもう少し先だと誰もが思っていた。きっと本人でさえも。
そんな中でのこの状態。つい同級生の身を案じてしまう。
二人は何でも相談できる間柄だったと聞いていたので、突然の別れをどうやって
受け止めているだろうかと気が気でなかったけれど、一方で、しっかり送ってあげや
と、声をかけずにはいられなかった。
Mくんには妹さんがいる。ご両親を6年前、4年前と相次いで亡くされてから
実家へ帰ってこられていた妹さんと住んでいたけれど、妹さんの娘に子供が
生まれたのをきっかけに、ほんの目と鼻の先の住まいへ移ったのが4月。
いくら近親者でもお互い仕事をしていれば元気でいると思っているもの。
妹さんの話ではMくん、すなわちお兄さんに会ったのは10月頃だったそう。
お通夜での喪主挨拶で「1123(イイニイサン)の日に逝ってしまいました」と
話されたのが印象的だった。
きっとこのゴロ合わせを忘れることはない。