千本のおばちゃん⑤

亡くなったおばちゃんは、自分が骨になったらそれをそのままおっさんに

持って帰ってもらい、四十九日の法要までお寺で弔ってもらう段取りを

していたとかで、家の仏壇にはおっちゃんひとり。ま、そうなるわな。

それにしても、そのあたりの段取りはよかったとして、この家の中のモン

どーすんのよ。主婦としては何が気になるって冷蔵庫の中のモンです。

食べると言っても封の開いてるのとか消費期限のめっちゃ切れてるものとか。

卵もこんなにたくさんどうするの?と思っていたら5月だったりね。

恐る恐る冷凍庫を開けてみたら・・・ぎっしり。

もうね、なにも見ないで捨てようと思った。だうたい消費期限過ぎてるし

大丈夫でも誰にもらってもらうの?困っちゃうよね、もらっても。

ということで朝から義妹と待ち合わせておばちゃんの家で作業。

義妹は主に書類関係の捜索。私はとにかく冷蔵庫をどうにかする。

30リッターのごみ袋。これも山ほどある。それを次々に埋めてゆく。

ビンのものは中身を出し、他はガシガシ捨てる。

とはいえ分別はしながらなので結構時間がかかる。

冷蔵庫だけで軽く2時間。引き出しや、洗面所も少しだけ片づけた。

なにより、もうここにはおばちゃんはいない。下着があってもそれは

形見分けにはならないはず、とガッシガシごみ袋に突っ込む。

10時から始めて終了というか途中参戦のダーリンを送っていく段取りがあるため

一旦16時で終了とした。づがれだ~~~~~~~~~。

しかしこれも氷山の一角。とりあえず生ごみだけでもなしにできたしヨシとしよ。

幸いごみの日は翌日。朝早く来て出すことにする。

人間、死ぬときは本当に裸一つ。モノはいらない。