余白の魅力
今更だけどずいぶん前の芥川賞受賞のこれ。読了。
- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/02/05
- メディア: ハードカバー
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なのでごっちゃになってしまう。ま、私がアホなだけですが。
お話はどちらも職場でのパワハラを軸にしている物語で、
主人公は違えども環境的なことが過去形と進行形になっていた。
働くこと、また、それが生活であること、その生活と自分というもの、
働くことと生きて行くことのバランスを描いている。
けれどもよくありがちな…というか、誰もが多かれ少なかれ経験しているもの。
でも、結構ほったらかしな、というかハッキリした起承転結がないというか。
もちろん物語は展開していくのだけれど、実生活ってこういう感じの
緩いカーブでしか物事は動いていかないことが多々ある。
たまには急転直下ということもあるけれど…。
読後感は友人の生活を少し共有したような感じ。
たぶんパワハラに悩まされている人には共感できて勇気を貰えるというか
あなたもですか、という安堵をもたらしてくれるのでは?と思う。
この2篇、どちらの物語にも作家自身のことが投影されているのだろう。
心情がリアル。その分、周辺の人物は適当にほったらかし。
それがいいのかもね。想像の余地があるってことが。
「あぁこんな人いるな」っていうところが共感しやすくていいのかも。
どの人を見ても身近に感じられることが受賞の大きなポイントかしら。
作家自身はきっと自分のことを拡大しただけだろうけどね。
ミクロはマクロに、マイノリティはマジョリティに通じる法則がここにも。
余白の魅力を感じさせてくれるものに惹かれることが多いなぁ。
きっちり筋立てて、答まで出すのは親切すぎるのかもしれないね。
自分の手法も考えよっと。
この物語、良くも悪くも主人公は等身大である。
ま、私なんかは「過去の私」と等身大な気がしたわけで
すっかり自分が若くないことを感じたりもしたよ。