続『イタミ・ノート』

Bの1「崩れた灯篭、瓦礫の境内」

阪神淡路大震災の時の様子。震災の当日、カメラを提げてご近所を見て回られた方の

お話を元にごまさんが編んだそう。幸いだったのは伊丹では火事が出なかったこと。

それでも崩れた建物や、阪急伊丹駅の様子や、人の救出の様子など。

全ての人が「えらいこっちゃ」と思っていた心境と、その中でも笑える場面はあり

それは人が助かった安堵に根差していたものだったと今になったらわかること。

伊丹だから描けたエピソードだったのかもしれない。

(神戸だったら、これまた全く違っただろうし)

一緒に観ていたムスメは当然21年前の出来事を知らずにいることを思えば

やはり語り継ぐことの大切さを感じたし、こうした形で継いでいくというのでも

意義はあると思わされた。

Bの2「カエルの居場所~震災後の街並」

これはまるまるお芝居。関東の方から引っ越してきた少年(高原さん)と

地元のおっちゃん(西村さん)が田んぼを探して歩くシーン。

震災を機に伊丹の町はずいぶん様変わりしたそうで、どんどんと古いものが

無くなっていく様子と、変わらないもの(人や風景)、土地になじむということ。

少年が関東からきているところがミソ。上手いなぁ、ごまさん。

Bの3「尼宝線と防空壕とチューインガム」

今回は客演が多くてニットのメンバーは高原さんだけだが、ねむり姫組も多いし

そのほかの皆さんも初顔合わせはこのエピソードでおじさん役をされたや乃さん

だけかも知れない。でもすごくハマっていた。

今回の催しにあたり、写真展を催したところに通い詰めたおじさんがいらしたそう。

熱心に写真を見ては同じ話を何度も繰り返して話される方だったそうだ。

その様子を(まんま)芝居仕立てにしたもの。落語みたいだった。

この催しは一日中行われていて、チケットの半券を持っていれば何度でも

ホールに出入りできるし(ただし当日に限りだけど)何度でも芝居も見られる。

一日最高6ステージある日もあったようで、俳優陣やスタッフにはそれなりの

負担があったと思うけれど地元の人にはとても楽しい催しだったはず。

なにより、普段あまり芝居に縁遠い方々も、写真を提供したなど、催しそのものに

参加していると、この芝居はたまらない魅力があるだろうし、また芝居の面白さに

あらためて気づかれるのではないだろうか。

聞いたところによると「何回観ても飽きへんわぁ~」と連日通われていた方も

いらしたそうで、また来期もそういった地元の方がたくさん来られるように

期待も膨らむし、アイホールが企画した意図がはまったということで喜ばしい。

私は土曜日に観た『イタミ・ノート』があまりに素晴らしかったので

日曜日、ちょうど帰宅していたダーリン共々、家族4人で出かけました。

よその話だけれども、同時代を知っている私たちは懐かしいし感慨深い。

これをおばあちゃんにも見せてあげたかったので、久しぶりに遠出してもらいました。

めでたし、めでたし。