『イタミ・ノート』

アイホール×ニットの3年かけてのプロジェクト。

2年目の催しは写真展と短編のお芝居が6つ。Aは家族編3つ。Bは街並み編3つ。

これはアイホールが主催する舞台で、地域と創る舞台芸術という地域振興というか

文化を土地に根差して創っていこうという素晴らしい取り組み。

ホールがやっているということに意義がある。ありまくる。

3年間かけてごま氏が伊丹市の有志の方々に昔の写真を持ってきてもらい、

お話を聞き、そこからインスパイアされたエピソードでお話を作る。

さてさて、どんな物語になっていることやら。

Aの1「昆陽池(こやいけ)からきたヘビ」

高安美帆さん(エイチエムピーシアターカンパニー)の独り語りから入る物語。

昆陽池の近くで60年以上も商売をされている昭和8年生まれのおばあちゃん役です。

その家族の物語。写真もプロジェクターを使って大きく映され

それの説明をしたりもしながら、途中でその家族の様子をお芝居で再現したり。

高安さんの語り(芝居)がすごく安定していてとても引き込まれた。

なんだろう、その方の体験談なんだけれども、ちょうど高度経済成長期の様子が

手に取るようにわかって懐かしく、それでいてとても上質だった。

Aの2「国道171号線を行く象」

1970年の大阪万博博覧会でタイのお祭りという催しに駆り出されたゾウ達。

神戸港に着いたはよかったが移動のトラックが手配できなかった(!)とかで

16頭のゾウ達は神戸から吹田まで歩かされた。びっくりしたのは地元の人達。

だって、そんなの、目の前で見られるなんて!その当時の様子をお芝居に。

高原さんのしっかりもののお姉ちゃん役、池川タカキヨくんの弟役、

猿渡美穂さん(宇宙ビール)の頼りないお母さん役。家族模様が最高!

語りの や乃えいじさん(PM飛ぶ教室)、怪しいおっちゃん役の西村貴治さん。

次のエピソードへ行くときに素晴らしい歌声で会場のみんなを魅了した黒木夏海さん。

すばらしい黄金バランスです。

Aの3「天神川ホエールズの補欠たち」

これは、まんまフィクションだそうです。

でも一番ニットらしさが出ていたように思う。

万年補欠という立場の子供たちが一生懸命応援する姿に泣けました。

その時代ならではのエピソードをはさみつつ、少年たちの姿はきっとどの時代にも

通じるものがあるのだろうと思わされる。

最終回同点でエースがけがを負ったことで突如、役目が回ってきた補欠1。

「オレだって、やるときはやるんや」な場面での無情の雨。

こういう、なんとも切ない場面の書き方が抜群にうまいごま氏。

救われないというか、すごく切ないのだけれど、そこに何とも言えない優しさがある。

ニットの真骨頂だと思います。

長くなりすぎるので、つづく(笑)