ぴよこちゃん

京都でのリハも佳境の雰囲気。全員がそりゃもう毎度々々真剣に。
私のシゴトとしては全体像を見つつ、細かく個別の出来を上げて行くこと。
とはいえ踊りはナマモノなのでいくら本人が「いつもどおり」やっていても
体調、呼吸、前後の何かの要素でふらふらと揺れるものである。
だからこそイメージの繰り返しを自分に落とし込むことが必要。
全ての振りを大事にしながら丁寧に、とはいうものの、なかなかそこまでの集中力を
維持するのは並大抵ではない。でもその(自分なりに創りだした)世界にちゃんと
住んでいると少しくらいは振りがブレても気にならないものだ。
表面だけを取り繕っていてはブレが増幅してこちらの目に映るのは不思議なほど。
これって踊りの専門でなくても絶対にわかるモノなのだよねぇ。
一瞬の違和感が空気を変えてしまうからね。気をつけないと〜。
でも「イメージを持て」といわれても何をどうしたらいいかがわからないのかもと
今更ながらに思い、もちろんことあるごとに言っているつもりだが、私の言葉は
どうやら抽象的すぎるのか、何をどのように言えば分ってもらえるのかがわからない。
で、だ。
例えば私はこのようなイメージでやってますというのをお伝えすることにした。
そしてできればみんなともその景色を共有できればきっと良いアンサンブルが
生まれるに違いないと思うから。
「みんなこの指先には何が見えてるの?私には青空が見えるよ」だの
「そこ、そこ、そこ〜っ!その前のここは意識しているけど、その後のここに意識が
無い!それではあかん。指先に愛おしさと優しさが無い」だの。
ではどうすれば?
「たとえばさぁ。ここにぴよこちゃんがいるとして…」
みんなの目が点になったよね、一瞬。ぴよこちゃん!?ってなんですのん?
ぴよこちゃんはぴよこちゃんである。
「たとえばぴよこちゃんが手のひらに乗ってるのをそっとおろしてみ」
ほら〜今までになく、ちゃんと意識が指先に行くでしょうが。
その時、アキがこう言い放つ。「でも、その後、ぴよこちゃん踏みますよ」
踏んだらあか〜ん!確かに一歩、踏み出すけども。そこはぴよこちゃんがいたけども。
「ちゃうやん。そのあとぴよこちゃんは飛び立つやん!それを追いかけるっ!」
どうぞ、ご来場くださる方は、どこがぴよこちゃんなのかを当ててみてください。