「俵の藤太のムカデ退治」本番

いよいよ本番。前回は滋賀の民話をもとに「びわ湖ホール」を「ムカデホール」に
しようとするムカデをみんなで探しながら劇場を探検し、最後にはムカデを退治して
その上、意外な感動が待ち受けているというお話だったのだが。
演出曰く今回はそれのビフォアエピソードだそうである。
時あたかもバレンタインデー。ホール側から「バレンタインデーの要素を入れて」との
要望があったそうで脚本を書いた演出は地味に悩んでいた。
それでもちゃーんとお話になっているんだものね。ごまさんすごいわ。さすがだわ。
この演出はニットキャップシアターの座長で「ごまのはえ」という。
苗字と名前に分けるとしたら「ごまの」「はえ」だそうだ。どうでもいいっか(笑)
そう浅くないご縁のニット。私が懇意にしているのは音響王子の三橋くんだが
いろ〜んな絡みで役者さんともそこそこのお付き合いがあったりする。
そしてこのびわ湖がらみでついに私もセリフをしゃべったり、ダンスシーンを
任されたりと、なんだかお引き立ていただいててありがたい限り。
今回、ごまさんともずいぶん色々な話ができるようになってきていて楽しい。
やっぱりお話作ったりする変な人ですからね。話してても面白いのよ。
閑話休題
今回は「劇場に住んでいるムカデ大王は甘いものを食べすぎて虫歯だらけ。歯医者には
絶対に行かないと逃げ回り、しかもバレンタインのチョコを独り占めしようとする。
そこで劇場に生えている“ふんぎりチョコ”を探し当て、それを大王に食べさせて
歯医者に行くよう説得する」というストーリーになっている。
案内役はお話の主人公、俵の藤太(たわらのとうた)と鈴木ブチャ子さん。
それに湖西童子、湖東童子の二人。
この二人は修行中でいつも喧嘩ばかりしているが三上山の神様に言われて仕方なく
(修行のポイントを稼ぐために)案内役を引き受けるのだ。
ブチャ子さんは劇場にお話(俵の藤太のムカデ退治)を見に来たお客さんで
主人公の藤太は相手役のムカデ大王が居なくなって困っている、という設定。
藤太は退治するムカデがいないと自分が主役を張れないのだ。
ムカデはとにかく今日はチョコをもらう日だからとお話に出てこない。
ふんぎりチョコを探し回る途中、様々な仕掛けがあり下手や上手の音響・照明エリアで
様々な音響効果や照明装置を体験したり、ふんぎりチョコのヒントをもらったりする。
私は大奈落に住む妖怪?でみんなが探検に行く途中で寄る場所にいる。
楽屋に生えていたふんぎりチョコを大王に投げつけると大王は気持ちに踏ん切りが
付き、歯医者に行く決心をする。大団円。お祝いにみんなで踊る、と。
演出曰く「なんやねんコレ」であるが、多少の強引さは舞台だからこそ。
結局は虚構の世界のネタばらしをしながら虚構の世界に浸る体験をさせるわけである。
今回は技術研修の名目があり、育成事業も兼ねているため一般の観覧募集はせず
シアターメイツと呼ばれるびわ湖ホールの子供会員向けのシークレット公演。
うむ。もったいない気もするが、そういうものだろう。
そしてムカデ大王も今回で引退(廃棄)が決定している。
長く共演したので愛着がわいていて寂しいけれど、これも時の移ろいだ。
最後にみんなで記念撮影をした。
来年は来年でなんだかいろいろと違うことになるらしく大変なのだそうだ。
お声掛かりがあるやなしや?
実は結構大変なんだけどあるといいな。楽しいし。
この日は朝から手直しがあり、午後2時が開演。あっという間に終わった。
事後は研修生たちとの意見交換会に出席と言うことで一人ずつ挨拶することに。
感想でもいいけれど、スタッフとしての意見があればお願いしますとのことだったので
私は技術さんといえどもイマジネィションとクリエイションを大切にして下さい、
てなことを述べた。
一緒に舞台を創るという言葉を言うのはたやすいけれど実際のところ難しいものだ。
同じ釜の飯を食らう仲間が技術スタッフならともかく、普通は劇場を借りて
そこで初めて会う人達にお任せするわけだから、スタッフ側としても単なる作業に
なってしまうのは仕方のないところだと思う。
頑として自分のイメージのまますべてを作り上げたいと思う作者ならともかく
私のような拙い作者だとスタッフからの提案があれば嬉しく思う。
というようなことを考え考えだけれどお伝え出来た。
その後は舞台上で軽く打ち上げ。その後、場所を移動してホールスタッフの皆さんと
打ち上げ。打ちあがってばっかり。本番より前後の方が長いって(笑)
私はごまさんと同じテーブルに着かせていただいたので、今回の首謀者である
O谷さんも自然にそのテーブルへ来られ、大層おもしろい話を聞かせていただけた。
それもこれもごまさんが前回の脚本で普段は技術スタッフとして裏にいる人達を
表に出させるという無謀かつ計算された戦略によってスタッフそのものを巻き込む形を
取られたからこそだと思う。素晴らしい!ホントに!
普通はスタッフさん達とここまで親密な感じにはならないもの。
いや〜本当に楽しい現場でした。願わくば是非とも次回も関わらせていただきたいな。
(そこそこ大変ではあるのですがね)