ビガク

朝からバタついて色々な書類の作成や、音楽の編集や、テキスト作りをやって
夕方に出掛ける。今日は第三回目のお見合い日。(だから私じゃありませんって)
音響王子に話をお願いした。高校生の到着を待ちつつ、少々二人で立ち話。
「どんな話すればエエのん?」と彼が聞くので音響をやった経緯とか体験談をと
お願いしていたら「リミットはどこまで?」と王子が聞く。
う〜ん?
まぁ夢を与えてあげなきゃいけないと思うし、でも夢物語だけではやっていけないし。
現実的なことも織り交ぜながら、でも最終に道を選ぶのは彼女次第なわけなので
やっぱりやりがいを感じている事を話してもらえればいいかな、と。
「ワシら、裏方に美学を感じてますからねぇ」そりゃそうやわ。
っていうか、ワシら、て。それ私も入ってるんスか?
「だってレイさん、表より裏好きでしょ?」えぇ、まぁね。おかげさまで(笑)
ほどなくして高校生ちゃん到着。つれもって喫茶店へ。
最初は王子ももっとゴツゴツしてたけど、最近は丸くなってきたよねぇ、と思う。
いや、元から私に対してはそんなに尖ったところはない彼だったけれど、
本職である芝居の関係者には結構コワモテだった節がある。
ニヤついてヘラヘラしてるけど、それは完全に外の面やわね。
まぁ高校生、怖がらしてもダメなんでね。それでいいんですけど。
お話してくれた内容はとてもクリアだったと思う。(私からすればね)
高校生にはもしかしたら理解の範疇を越えていたかもしれないけれど
端的に「自分がどういうタイプかで結局はどちらを選ぶか」ということを明確に
示唆してくれた。
印象的だったのは「裏方は目立ってもいけないしやらなさすぎてもいけないのだ」と
いうような話をしてくれていた時の事。
「お客さんは舞台を見ているけれど、ボクらはお客さんを見られるんやんか」と言う。
そして自分が劇場にいて、お客さんの見えないところで忍者のように音も立てず
でも自分のしないといけない事とかをスイスイとやれていて、その中で遊べたり
している時がたまらなく楽しいという。
まるで自分の立ち位置をわかってそこにいる海の中の魚のように。
あるべき場所へあるべきものを置いていく快感。
それがダイレクトに作用し、たとえば観客が笑う、泣くという反応を示した時。
それを「こっち側」の人間として感じている時が至福なのだという。
マイナーですねぇ(笑)でもすんごいわかる。
「その辺りに美学を感じられたら裏方が楽しいと思えるはず」と話してくれた。
そう。どこまでいってもマイナーですごく小さいコツコツとした作業からだもの。
自分の表現の場がメジャーかどうかというところはまた次元の違う話。
どこに自分の美学を感じられるかが選択の分かれ目なのかも。
がんばれ若人。先はまだまだある。途中で変化してもいいんだからさ。