亀やったんか

ニットキャップシアターの公演を観に八尾へ。うん、微妙に遠いぞ。
京都からだとまっすぐ下がって横移動するのが一番近いのだが電車だとそうはいかず。
『月がみていた話』は3人の劇作家が脚本を担当し、ごま氏が演出を施す企画。
もちろん作家の中にはごま氏も含まれている。
マヨワを始め、先日のサロメ、そしてこの月、と目まぐるしい忙しさ。
劇団の活動の他にもアクターズラボや、その他あれこれの活動やってるわけだし。
同時に俳優陣はセリフを覚えるわけで…大変だなぁ。
まぁ彼等に言わせるとダンスをアレコレ覚える方が大変に感じるらしいからおあいこか。
いやいやいや。あいこじゃないよ。
セリフのみならず制作から考えるとドエライ仕事分量だよ。
おまけにみんなバイトしてるんだし。いつかこの努力が報われます様に。
そんな並外れたバイタリティを持つ劇団。今度は何を見せてくれるのだろう。
今回はアンデルセンの「絵のない絵本」というのが下敷きになっているとか。
不勉強にも、どんな原作かは全く知らずに観劇する。
3人の作家による6つのお話。オムニバス形式になっている。
第一話「月と国境」ごま氏作。
ミクロがマクロになるお話。そう、戦争ってこんなたわいもないことで始まるのかも。
第二話「先生のお葬式」飛ぶ劇場主宰・泊篤志氏作。
人間、多角的だよね、というお話。棺桶を立てる演出がすごい。思いつかない。
第三話「死んでもいい」intro主宰・イトウワカナ氏作。
ネットで繋がった人たちが集団自殺を目論む。失敗。何気ない会話と月夜。
イトウ氏はおちゃらけ感覚での作だったらしいが、ごま氏の演出によって切なさが
際立ち、作者であるにもかかわらず泣いてしまったとアフタートークで告白。
第四話「最期のチキン」泊氏作。
中世的なセピアな空間にロボットのお母さん。で、私の中の時空がゆがむ(笑)
ロボットっていうのがよかったな。あれ、人間だといたずらに臭くなる。グロいし。
第五話「ボニー&」イトウ氏作
語り、と動作(マイムによる芝居)。美術が最大限生かされ、美しく孤独だった。
「大ジャンプ主義」ごま氏作。
月から見えるのは青い星。人間の住むところ。ここは月にある動物園。
様々な動物が展示されているが、なぜ?という動物も。
管理人らしいネコとイヌ。ありふれていて展示の対象にならないのが引け目(笑)
チータにフラミンゴにキリンに亀。えっ?亀?パンフをしっかり読んでいなかった私
最後まであれは猿だと思っていた。なんでランドセル背負ってるのかな〜って。
しかも少しくどいしノロい。思い返せば確かに亀だったね。
全力で走ったことのないチータ、長い首がコンプレックスのキリン、自己中で
飾り立ててるフラミンゴ。ある時、二酸化炭素が充満する危機に陥る。
島感覚とでもいうべき保守からの脱却。風刺が効いていて最高に面白い。
そして断ち切りのカットアウトのち、影絵でのハッピーエンド。子供が喜びそう。
子供が喜ぶだろうけれど、大人の方がいろいろわかるので尚、面白いはず。
俳優の市川さんが図らずも…?2本ともアイジン系の配役。イイカンジ。
観ている方はアレコレ楽しめて面白かったし、俳優もこれくらいなら負担には
ならないかな、という分量ではある。(気がする)
若い役者さんもいたし、世代的なものも上手い配分だったと思う。
今回もニットらしい?生演奏でのBGM。転換の時に使われていてよかったな。
何と言っても月の美術が美しかった。空間目いっぱい。
アフタートークでのごま氏曰く「月は使いたくない」(笑)って言ったらしいけど。
初めは動かないのかな~と思っていたが、動き始めてどんどん満ちてゆく月。
欠けてはいかなかったが。今度はまた欠けていく方のお話も創って欲しい。
いや〜私もがんばるぞ〜。