晩夏の年頃

夏を喪くす (講談社文庫)

夏を喪くす (講談社文庫)

若い頃、一時的に森瑶子さんにハマったことがあった。思えばバブリーだった頃。
バブリーなのは私自身じゃありません。言わなくても当たり前でしょうが。
世の中がバブリーだったのと、やたら若いワインがもてはやされたことと森さんの
小説が時期的に私の中では渾然一体となっている。
「女の情」を「踊る」というのが今一つわからなくて、悩んでいた頃。
ジョウってなに?みたいな。いや、わかりますよ、雰囲気的にはね。
でも真面目に踊りを捉えようとしたときにどうにもそのあたりのドロドロしたものが
私の中には無いのか(えぇ、きっと)わからないだけなのか(いえ、無いんでしょ)
えぇい、うるさい!悩んでおったのじゃ。エロスというものについて。
そういうものを実践(!?)じゃなく、本から仕入れようってとこがそもそも、ねぇ。
ま、そんな時に出会った森さんは大人の女の小説家の代名詞だったのだ。
けだるさ、赤裸々な性の告白(小説だけどね)、ワイン、小麦色の肌、バカンスetc。
なんだか大人の不良の魅力そのものだった。
そんな憧れにも似た思いだけで読んでいた小説は、もしかしたら今読むともっと
ほろ苦いのかもしれない、と同じようにマハさんも思ったのかな、と。