ゆや〜んゆよ〜ん

汚れちまった道

汚れちまった道

ざぁ〜〜〜〜〜〜〜っと読んだ。
これは萩殺人事件との抱き合わせ本でありながらも、こっちだけ読んでも独立して
立派に浅見シリーズになっている。
でも印象としては「萩…」を読んでいないと所々わかりにくいんじゃなかろうかと思う。
こっちは浅見光彦の視点で書かれているとのことだったが、その辺りはあまり気にせず
でも「萩…」とまるまるリンクしている箇所もあるので飛ばし読みになってしまった。
浅見さんは中原中也にからむルポをするという名目で山口を訪れたことになっている。
実は母親からの差し金で密かな探偵業を請け負いつつであったが、所々にはさまれる
中原中也の詩がいい。
小説では浅見さんは当初、中原中也に何の思い入れも持てずにいる、という設定。
だからなのか、しばらくは距離を置いた形のまま物語は進行してしまう。
小説中では詩と言う形態が相いれないのか、と言うようなことが語られているが
勘やひらめきで事件の発端を掴む浅見さんらしくないなぁ、なんて思ってしまった。
詩は豊饒ですよ。この上なく。