漆と桜の香り

風のなかの櫻香

風のなかの櫻香

久しぶりに内田センセ。本を開くとそこには浅見さんがいてホッとする。
浅見光彦シリーズで100冊を超えたのはもう10年程も前のことだ。
それから以後もセンセはこうしてシリーズを続けていらっしゃる。敬服です。
継続というのがたやすい事でないのは歳をとればとるほど解かるから。
センセにとって浅見シリーズは盤石の経済基盤でもあるが、それ以上にもう
浅見光彦という人物が一人歩きしているのだろう。
実在だったら、これだけ彼の周辺で殺人事件が起こるのもどうかと思うが。
いつまでも元気で執筆活動を続けて欲しいなぁ。
この本の舞台は尼僧院。いわゆる尼寺である。女性の住職さん。
実在のお寺をモデルにしているそうで実名も使わせてもらっているとか。
そのせいかどうか、この本は穏やかに閉じられる。事件の解決も穏やかである。
割と最初から犯人が分かっちゃうのが物足りないが、きっとこういう雰囲気というか
寺のたたずまいだとか、人物の描写からくる匂いだとかが伝われば良かったのだろう。
ミステリーとしては甘口ではあるけれど、この舞台にはふさわしい気がした。
そういえば昔「尼寺へ行け!」とかっていうのって罵倒の言葉でしたよねぇ?
シェイクスピアの翻訳で使われてましたっけ。
尼さんというか、尼寺自体、あまり位が高くなかったそうですよ。(本書の受け売り)
だからそういう言葉が罵倒になっていたのかしら?
そんな感覚自体、もう現代には通用しないよね。
京都ではお坊さんのことを「おっさん」尼さんのことは「おじゅっさん」という。
おじゅっさん。どういうことなんだろ?「おっさん」も謎だが。
「まんまんちゃん、あん」に通じる幼児言葉の延長のような気がするけど。
シラベモンは振付が全部終わってからに…。