バッハの心得

日曜日。朝から江坂の生地屋へ。ここになかったら諦めようと思いつつ。
大阪のメンバーには1時間遅れで行きます、と伝えてある。
その間みんなが先月の振付を確認練習できるように。思い出しからになるもんね?
そこにやはり目当ての生地はなく、急ぎ西九条へ向かう。1時間半遅れでスタジオ入り。
メンバーは汗みどろ。「(首尾は)どうですか?」と聞くと
「ホンマ(振付どおり)かどうかはわかりませんが、音楽には収まりました」と。
あら、そう。ほなできてるんちゃう?とエエ加減大王炸裂のお返事にコケるメンバー。
いやいや冗談ですって。一回見せてもらおっかな。踊ってみてくれる?
踊ってもらった。…えらい複雑な振付。こんなん、よう覚えたねぇ〜と感心する。
それを聞いてこれまたずっこけるメンバーであった。
「アンタが創ったんやろ!」と心の声があちこちから刺さってきました。
いや、なかなかこれは大変です。大した技術は使ってないのですが…難しいなぁ。
第二部のバッハ曲集は特に曲ごとのテーマは設けていません。曲そのものを踊るだけ。
ま、曲からくるイメージは各自あるでしょうが、基本的には身体を美しく使ってもらう。
それに尽きるのではないかと。曲はバッハだもの。腐っても鯛、みたいな。
透明感があり、かちっと堅牢な感覚もあり、演歌的な泥臭さも多少。
クラシックの中でもバッハは割合にわかりやすく親しみやすいのではなかろうか。
それをジャックルーシェがジャズアレンジをして揺らす。斜に構える。軽くする。
それを体現していただきたい、って…難しいわな。
難しい解釈は必要ないので、ひたすら身体をきれいに使って欲しいし、音楽にのって
踊ってもらいたい。しかもオシャレに。
バッハは丁寧に踊ることが一番音楽に適っているような気がするのよね。
それにしても。
もちろん完成には程遠いのだが、なんというか今まで公演に出てくれたことが
こういう形で出るんだな〜と実感させられた時間でもあった。
特にテーマがあるわけでもない振付だけど、違うように踊ろうと思えばなんぼでも
踊れる振付であるにもかかわらず「ある一定の方向性」に適っている。
それが何かと問われると難しいけれど。
ケレン味がない。意味のないハデさがない。
端的に言えば「私が求めているものを体現しようとしてくれる」とでもいおうか。
その動きにおいて大事なことは何か。どこか。
というのを考えて(あるいは察知して)動いてくれているようだ。
ふ〜ん。そっか〜とこちらは目からうろこが落ちる思い。
いいものを観させてもらった。ありがとうございます。あぁでも完成はまだだから。