何がいけないか

のほほんとしたものばかり読むな、ということで。

死刑 (角川文庫)

死刑 (角川文庫)

森さんです。疑問に思ったことをそのままにしておけない人です。問題提起であります。
まだ最後までいってないので、森さんがどのようなところへ到達したのかはわからない。
しかし、現時点では「死刑制度というものを存続か廃止か」を問われるとすれば
問題は山積しているかもしれないけれど、私は存続派かな。
制度はともかく、死刑と判決を受ける人って、それに値することをしているはずだから。
処刑される際に苦しむ時間があるとか、執行までの期間は世間と一切の関わりを
持たされずに処刑はその日の朝に知らされ、執行は2〜3時間後だ、とか。
場合によるが、処刑されても遺族としては空しさが残る、とか。
もちろん冤罪による判決であるとするなら言語道断ではあるが
「死んでいった人」の気持ちになると、どうもねぇ。
だって、その人だっていきなり自分が死ぬ(殺される)なんて思ってなかったはずだし
それを企てた本人だけが擁護されていいのかって思ってしまう。単純かな。
森さんは「死刑制度の不可視が問題」だとしているけれど、それは制度の問題であって
死刑そのものの存廃とは少し論点が違うような気がする。
目には目を…という原理主義的な危うさは承知しているし、つい自分が被害者の
立場でしか物事を考えないおめでたい人間だとハッとするところもあった。
死刑囚を弁護している人間の苦悩も語られ、遺族でありながら死刑制度反対の立場を
とっている人の話なども交えながら進んでいくルポではあるが。
ともあれ、自分の中でこういうことを考え直すにはいいきっかけの本だと思う。
時あたかも選挙戦の真っ只中。
こういうところから政治と言うものを考えることにも繋がるだろう。
森さんの着地点が気になるので、楽しみに読み進めます。