同級生

小学校3年生の頃、友達になった子がいた。

ある日の放課後、公園の山なりの運梯に腰かけてたわいもない会話をしていた時
彼女はいきなり「自殺を考えたことがある」と言った。
私はあまりにも自分とはかけ離れたところに彼女がいるような気がして
二の句が継げなかった…ように記憶している。
「私はそんなん考えたこともない」と言うのがせいぜいだった。
その日を境に彼女とよく一緒に居るようになった。
政治の話をしたり、バイト(新聞配達)をして自分の小遣いを稼ぐのだとか、
小学生の頃から「自立」を目指していた彼女。
とかく彼女には今までのどんな友達とも違う、刺激のタネが一杯だった。
また彼女はとても夢見がちであり、悩み多き人でもあった。私とは正反対。

中学、高校と同じ学校で、卒業後も細々とではあるが長く続いていた友情は
12年前に途絶えた。
ある時、彼女の家に遊びに行った私は
彼女が考え、実行に移そうとしていることについての話を聞いていた時、
思わず彼女に意見した。
口では理想を説くけれども、その実、自分の抱える現実と折り合おうとせず、
最終的に自分の欲望を追いかけようとした彼女を応援できなかった。
きっと、そのことが決定的となったのだろうと思う。
今はどこでどうしているのかわからない。(反対に彼女も知らないだろう)
むろん調べようとすれば、案外きっと簡単に見つかるに違いないが
再会しようという気は起こらない。
でも、中学生くらいの子が自殺したという類の報道に接すると、
どうしているかと真っ先に思い出す。
時折顔を出す、記憶のつれづれ。